《 マンドリン / ペグヘッドのバインディング加工》 

◆ ルーターでの切れ込み加工

 

さて今度はペグヘッドのバインディングです。

ペグヘッドは指板に対し勾配角度が15度ほどあるため写真のルーターガイドでは原則として対応出来ません。
専門家は15度勾配の専用ZIGを用意しますが手元にはありません。

 

ルーターを当てた状態です。勾配角度があるため加工しにくいのが判ります。

またルーターガイドはAとBの2点で支える仕組みなのでこの状態だと正確な加工はほぼ不可能です。

 

うまくいかないことを百も承知で勾配角度があまり影響しない横の部分を削ってみましたが、ルーターガイドがうまく機能せず、写真のように相当深刻な事態となってしまいました。

残る手段は「手作業」、どこまで修復できるか頑張るしかありません。

◆ 手作業での切れ込み加工

 

ターゲットは幅2.5ミリ、深さ3㍉

←小さな渦巻き部分の途中経過、絶望的なレベルです。

やや大きな渦巻き部分、黒檀は実に硬い

↓その硬い黒檀をどうにか・・・・

 
 

一通り手作業で削り終わった状態、彫刻刀、突きのみなど使えそうな刃物を総動員。

  赤丸の2か所は明らかに隙間が生じますね。パテ作業で埋めるしかありません。

◆ バインディング接着

 

使用するセルは既にラミネートされた既製品、予め7つにカットし、ドライヤーで曲げておきます。

 

カットしたセルを一つずつアセトンで接着していきます。

なお、先端部分や渦巻きの一部は勾配角度があるためセルの底をヤスリで加工しなくてはなりません。(下図参照)

 
 

接着したバインディングをスクレーパー処理とヤスリ掛けした後のペグヘッド。表面に随分こすり傷が付いてしまいました。

赤丸で囲んだ部分が補修対象個所です。

◆ パテ補修

 

2液接着剤に黒檀粉末を加えたパテを塗り込みました。

一晩乾燥させます。

◆ サンディングとポリッシュ

  固まった接着剤を削り落とします。(ベルトサンダーの使用済みベルトを使用)
 

サンドペーパー(#150~#800)で傷を消していきます。番手の順番が重要です。

さて肝心のパテ作業はほぼ満足レベル、深刻な状態はどうにか解消できたようです。

 

仕上げのポリッシュ作業。
インレイ作業時の隙間も修復しました.

下4枚は拡大写真、両サイドの隙間の解消、そして難易度の高い2つの渦巻き部分、共に満足レベルの作業でした。