《 マンドリン / サイドとブロック 》 

◆ ボディ用のモールド作成

 

結局、新たなモールドを製作しました。理由は幅35ミリの側板をカバー出来る42ミリ厚の方がしっかりと固定できるということです。

 

←接着後、スピンドルサンダーで内側を丁寧に研磨していきます。中央のサンドペーパー付スピンドルが上下しながら回転し直角の内面を作っていきます。
下段左側写真は、大型やすりで全体をフラットに研磨して
下段右側は新たなインナーブロックを製作し内側にセットしたところです。

 
 

←最も長さのある3番リム専用のInnerブロック2種です。

◆ ブロック材加工

 

ボディを形作る4種のブロックがあります。
ボディ下側の出っ張り2箇所のポイントブロックと渦巻き形状のヘッドブロックそしてテールブロックです。厚みは全て35ミリのマホガニーで製作します。

  渦巻き(スクロール)ブロックはまずバンドソーでおよその形状をカットします。中央の切り込み加工や一部がサイド材を兼ねることから重要なブロックです。

◆ サイド(リム)材のベンディング

 

写真のように複雑なリムとブロックで構成されています。もちろん正確な形状加工が求められることになります。

注)この章では側板の呼称を「サイド」ではなく「リム」に統一します。

 

板材はメープル、1番リムが203ミリ、2番リム305ミリ、3番リムが712ミリの長さ、厚みは約2.2ミリです。
写真の毛引きで幅を36ミリにカットしました。
注)
マニュアルには3.1ミリでスタート、後のヤスリ掛けで最終的に2.8~2.9ミリ程度になると記載、でも今般は2.2ミリで製作します。

 

リム材のベンディング作業に入る準備をしているところ。
板を割らないコツの一つに、板材をペーパー#320で小さな亀裂を無くしておく。つまり亀裂が少しでもあるとその部分から割れてしまうリスクを少なくするということです。
また予め10分程度は水に浸し、後は刷毛でたっぷりと水を施しながら作業し、頃合を見て湿った板をモールドに固定してしまうことで対処しています。

  リム材の上に乗っているステンレス板はベンディング作業時に使用、板材全体に力が加わるので割れを防ぐのに効果ありです。(StewMc社製)
 

←1番リムをモールド固定したところです。
既述したようにベンディングアイロンで熱したリムをタイミングよくモールドに固定、充分に湿っているので割れてしまうことはありません。

ある製作家曰く、「材料をラップして電子レンジでチンすれば簡単」参考書著者は蒸気で蒸した後にベンディングするそうです。

 

←左は出来上がった1番リムです。

 

↓下の写真は2番リム、両端の固定がポイントゆえ急遽左側のインナーを作成、右側インナーは1番用を裏返して利用。

 
 

←3番リムで使用するインナーモールド3種です。やはりこれぐらい準備しないとうまく固定できません。
既に説明しましたがアイロン作業で最終形状にする必要はありません。
ある程度曲がった状態のリム、十分に湿ったリム、適度に熱せられたリム、この3条件が整えば一気に写真のように固定することが可能です。

◆ ブロックとリムの接着

 

←4つのブロックを仮置きしてみました。
ここで問題発生、スクロール(渦巻き)ブロックがどうしてもモールド形状に合わないことが判明。

従って下の写真(2枚)のようにこのブロックだけモールドを使用しないで接着することにしました。
なおクランピング時には渦巻き部分に必ずシム(隙間を埋めるもの)を噛ますことを忘れないでください。

 
 

渦巻きブロックを接着したリムと残りのブロック、リムをモールドにセットし、クランプで接着固定している写真です。
ここで新たなミスが発覚。赤丸マークで示しましたがリムの端がずれているではありませんか・・・ショック!
下の左側写真でズレがわかります。そして右側がメープル材を埋めて補修したものです。

 

◆ ライニング接着(トップ側)

 

←トップ側のライニングを先に取り付けます。
予めモールド内側にモールドの半分の厚みの「ゲタ」をはかせ、リム半分がモールドからはみ出るようにします。(ウクレレと同じ)

 

←左側写真・・・・ブロック接着済みリムをセット

↙下左側・・・・・・インナーでモールドに固定

↘下右側・・・・・・刻みの入ったライニングを接着固定

 
  ←接着後、クランプを取り除いたところ。
ライニングは幅、高さそれぞれ10ミリのほぼ3角の形状です。
 

モールドから取り外したリムです。どうでしょうか?

ここでボディ作業を一旦中断し「ネック」作業に移ります。