《ギター製作》

3.ブレーシング加工

◆ トップボード・ブレース材加工

左側) トップボード裏面にブレーシングプランを鉛筆で正確に書き込みます。

左下) バンドソーで8ミリ厚のブレース材をカットします。スプルース材を使用。

下側) カットしたブレース材をボード面に置いた写真、別途厚み、高さそして長さ調整を行います。

「Xブレーシング」と呼ばれる2本のブレースを中央でクロスさせたブレーシングが基本です。

左側) 交差部分の切り込みとほぞ加工

左下) 交差部分のほぞ加工

下側) 基本となるXブレーシング

それぞれのブレース材は接着前に粗加工し、仕上げ作業を軽減します。

左側) ブレース両端加工
左下) 両端加工がほぼ終了
下側) 写真の3つのブレース材の接着面にはアール加工を施します。一番上はサウンドホールのネック寄りブレース、下の2つはXブレーシングです。

《ブレース寸法 厚み×高さ》
A,B -  8mm x 15mm ・・・たわみ加工
C,D,E.F - 7mm x 11mm
G,H - 8mm x 13mm
J  -  13mm x 21mm
 ・・・たわみ加工
K  -  25mm x 3mm

① -  10mm x 3mm
②③ - 15mm x 3mm
赤丸部分の接合は下の写真のように切り込み加工を施し、トーンバー側を差し込みます。

XブレースAの切り込みにトーンバーGを差し込んだ部分

トップボードのブリッジを下側から補強するプレートです。軟らかいスプルースではなく硬いローズウッドを使用、厚みは3.5ミリ。

◆ バックボード・ブレース材加工

カットしたブレース材の仮置きした写真です。

材料サイズは4本とも厚さ8ミリ、高さ17ミリにします。

両端の粗加工、そしてブレース接着面はそれぞれアール加工を施します。
両端の数値は中央値からの差異を示します。

次にバックボード接合部の補強材に切り込みを入れる作業、ブレース側をカットする人もいるようです。

左側) 「あさり」のない細工ノコでカット
左下) カット終了
下側) ノミで慎重に削ります。

計4ヵ所の切り込み終了、使用工具は突きノミと細工ノコギリ。 

4本のブレース材を切り込みにセットしたところ。

最後に、事後必要となる「当て木」を2種。

左は「ブリッジ補強板」の接着時の当て木。
右側はネック寄りのブレース材(2つ)の形状に合わせてカットした構造、指板をボディ側に接着する時の当て木です。

注) 右下挿入写真はトラスロッド調整時の穴(直径9ミリ)。

◆ ブレース接着ZIG(GO-Bar Cramping Deck)製作

(左と左下の写真)
長さ60センチの竹でクランプ棒(Go-Bar / Go-Stick)を作り、
滑り止めとして片側に2ミリ厚のゴムを取り付けます。赤いテープは反発力が少ないクランプ棒。
(下の写真)
合板(12ミリ厚)2枚を4本の鉄棒で連結、上側天板は高さ調節が可能。
更に、クランピング時の接着精度を高めるため、黄色で囲んだ板を凹面加工します。

左と左下の写真)
ブレース材のアール(radius)に合わせた凹面加工、、5ミリほどの差異で周囲から中央にかけてなだらかな曲面に仕上げます。
「dish/お皿」と呼ばれ、クランピング時の下敷きにします。因みにパラボラアンテナもdishというそうです。

下の写真はクランプ台にお皿を置いたところ。
トップボードのアール形状はほぼフラットなのでトップ側接着はお皿の反対側を使用します。

◆ トップボード・ブレースの接着

接着の前のドライクランピング。天板の高さ調整とクランプ棒の強弱を確かめます。

注)写真を見ると底板、天板共に相当たわんでいますが、この時点では気が付かず・・・・
天板の高さ調節も含め竹棒の具合もOKです。いい感じでクランピングが出来ました。

左側) ボンド接着その1

左下) トーンバーと呼ばれる小さなブレース接着

下側) ネックに最も近い3ミリ厚のブレース、当て木で見えません。

左側) サウンドホールを囲む3枚のブレース、割れ止め補強です。
左下) クランプ棒の接着終了
下側) 最後にブリッジプレートを専用当て木で接着。

注)ブレーシング接着乾燥の間にクランプジグ底板と天板を1枚から2枚の24ミリ厚にしました。

(左)
ブリッジプレートでトップ側のブレース類は全て接着完了
(左下)
Xブレーシングの交差部分に「寒冷紗ガーゼ」をボンド接着、乾燥時対策というマーチンの定番措置、効能は??
(下)
最後に
「指板接着時当て木」形状を再確認、2つのブレースを抱え込んでボードに密着、OKです。

◆ バックボード・ブレースの接着

まずはドライクランピング、お皿の上で相当たわんでいます。

(下の2枚)
クランピング本番、余分なボンドもきちんと濡れたウエスでふき取ります。

左側) ネック側からテールエンドへのたわみ

左下) ブレース材のアール以上のたわみ

下側) 底板、天板共にたわみは殆ど解消、反対にバックボードのたわみは明瞭(笑)。

翌日ブレースはしっかりと接着完了!

◆ トップボード・ブレースの整形

最初にミニカンナや平彫刻刀を使用し、粗整形してから、#180/240/320のペーパーで仕上げます。

最後の4枚がほぼ仕上がったトップボード・ブレースです。

◆ バックボード・ブレースの整形

トップボード同様、ミニカンナと平彫刻刀で粗削りします。

ところが・・・・・

何とブレースとボードの間に隙間が・・・

ブレース4本をチェック、両端のブレースはOKだが中央の2つのブレース中央部に隙間を確認・・・

早速、ボンドを流し込み、写真のようにクランプ締めの力技、隙間がないことを目視確認しました。

原因は「お皿」の凹面が深過ぎてブレースがお皿の底まで届かなかったため。竹の強さは写真のようなクランプには到底及ばないということです。
次回 「お皿」の底上げが必要です・

クランピングの結果、100%ではないが「OK」と判断、整形、研磨作業へ・・・・

注)本来はドライヤーで熱し、乾いたボンドを軟らかくしてから、その状態で接着し直すべきでした。

ZIGの製作やら何かと手間を要しましたがそれぞれ達成感はあります。

次はサイド材の加工とベンディングです。