《ギター製作》

8.ネックとボディの接合

◆ ボディのバインディング加工

【セルバインディングのサイズ】
トップ側:5ミリ×3.5ミリ
バック側:4ミリ×2.5ミリ
【ドレメル操作のポイント】
①ボディはモールドにしっかり固定。
②左手はドレメルを支え、右手(指先)でビットガイドを持ち、ドレメルを手前から後方にゆっくり動かす。
③ビット(刃先)はゆっくりとあてがうこと、慌てるとキックバックや余計な部分をカットすることになるので注意。
④一回のカットを浅くすることを心がければ失敗はほぼ防ぐことが出来ます。

「モクソン・バイス」の登場

End Flashと呼ばれる装飾加工。
サイドの繋ぎ目をメープルで加工しましたが、逆さまになってしまいました。
正しくは幅の広い部分がトップ側です。

 

セルはアセトン(溶剤)で接着します。
【セルの余分な部分の処理】
①カンナを一部使用、但しバインディングが剥がれないように注意が必要。
②プラスティック用ヤスリも必要に応じて使用。
③仕上げはスクレーパーを使用します。
(左)
スクレーパーでトップ側の余分なセルを削り取っています。
(下の2枚)
スクレーパー処理後、#180でサンディング。
取り合えずバインディング加工は終了とします。
【バインディング作業の反省点】
ルーター作業が手作業のため、加工後の仕上がりチェックが必須、全体としてはOKだが、硬いローズウッドのバック側で不十分な削り箇所が発生、作業が性急過ぎたのが原因の一つ。
具体的にはセルの幅(高さ)が一部狭くなってしまったり、セルとボディ間の隙間が生じてしまった。左はその隙間をパテで埋めたところの写真です。

◆ ダブテール(ボディ側ほぞ穴)加工

(左)
トップとサイドの角度チェック、90度を確認
(左下)
テンプレートで「ほぞ穴」の罫書
(下)
ボディを固定(ボディ手前側の下に5ミリほどの板材を置き高さ調整を実施)。
(左)
ノコギリでカット、切り込みは写真のノコ位置が限界です。
(左下)
次にトップボード部分をカット
(下)
万遍なくのこぎりで切り込みを入れ、手作業を少しでも容易にします。
(左)
突きノミによる100%手作業、やや大変ですが少しずつ削っていきます。
(左下)
取り合えず完了・・・
(下)
ネック側「ほぞ」とボディ側「ほぞ穴」、まだ荒削りレベルなのでこれから微調整を行います。
 -おさらいー
【ネックアングル】
ブリッジ(サドル)位置で2.5~3.5ミリのクリアランスを確保するための角度調整。

【ダブテールカット】
ネック側カットは予めネックアングル調整を行ってから作業。
またボディ側のカットでノコ刃が斜めまでしか届かない部分はノミで削っていく。

◆ ネック・ボディの接合


(左)
ネックアングルを89度とし、ヒールエンドを加工する。
(左下と下)
突きノミ、やすり掛けで調整を継続

注)本来はネックエンド角を89度にしてから「ほぞ」を加工すべきでした。ほぞを作ってから89度に加工するのは確かに変、作業しながら気が付きました。

調整は写真のようにチョークを塗ってほぞ穴にあてがい、強く当たる箇所はほぞ穴にチョークが移るので、その部分を修正していきます。
適宜、ヒールエンドとボディの接合具合もチェックします。
この繰り返しでほぞ継ぎを完成させます。


なお、ほぞ継ぎ調整時にはハンマーを使用して取り外す場合もあります。

◆ センター出しとネック・アングル調整


(左)
ほぞ継ぎ加工が終了、この時点でセンター出しとネックアングルを調整していきます。
(左下)
3点チェックでネックとボディの中心線が正しいことを確認。
(下)
最後にネックアングル調整後、サドル位置のクリアランスをチェック、3ミリ強のスペースを確認。

◆ ネックの整形(一部)

ヒールキャップを取り付けます。
エンドフラッシュと同じメープル材を使用。
「ヒール」と「ボリュート」部分は接合前に整形しておきます。
残った部分の整形はトラスロッド取り付け後に行います。

ボリュートはD28を模倣したのですがちょっと違ってしまいました。

注)ネックの厚みはナット付近で15mmを予定、7mm厚の指板を加えたネック全体では21~22mmの厚みになります。
従って深さ13mmのトラスロッド溝は無理かも知れないので再検討要。

ヒール形状は繰り小刀を使用するのが良さそうです。

◆ ドライ・クランピング

ヒールとボディエンドの2ヵ所をクランピングします。
センター出しとネックアングルチェックも必ず行います。

◆ ネック・ボディの接合

接合本番!!!

センター出しOK、サドル部分でのクリアランスは3ミリ弱・・・良しとします。

接合完了、細かなトリミングは別途・・・